AGA治療薬の種類と効果【かつら屋さんのAGA入門④】

AGA治療薬の種類と効果

本記事は全10回シリーズ『かつら屋さんのAGA入門』の第4回です。

前回は、男性ホルモンがAGAの進行に作用するメカニズムを説明しましたが、簡単におさらいです。
テストステロンが5αリダクターゼによってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、毛包のアンドロゲン受容体に結合することで、髪の毛の成長を妨げるシグナルを送ります。その結果として毛包のミニチュア化が進み、薄毛が進行します。

前回記事:第三回「男性ホルモンとAGAの関係とは」はこちら

この仕組みに対しては、医学的に効果が認められている治療薬がいくつか存在します。

今回は、代表的なAGA治療薬として知られる「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」について、それぞれどのような働きを持つ薬なのかを解説していきます。

AGA治療薬を処方されているイメージ画像

AGA治療薬は、DHTの生成を抑える「守り」の内服薬と、発毛を後押しする「攻め」の外用薬に大きく分けられます。まずは全体像を表で整理します。

分類 代表的な薬剤名 主な働き
内服薬(守り) フィナステリド(プロペシアなど) Ⅱ型の5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑える
内服薬(守り) デュタステリド(ザガーロ) Ⅰ型・Ⅱ型両方の5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑える
外用薬(攻め) ミノキシジル(リアップなど) 頭皮の血流を促し、毛包に栄養を届けて発毛を後押しする

内服薬は、代表的なものにフィナステリドとデュタステリドがあります。
この2種には、5αリダクターゼの働きを阻害することで、テストステロンがDHTに変換されるのを食い止める働きがあります。

AGA(男性型脱毛症)の原因となる物質を抑制する盾のような役割から、「守り」のAGA対策と表現されることもあります。

フィナステリド、デュタステリドは守りの内服薬

フィナステリド(プロペシア)

フィナステリドは、5αリダクターゼのうちⅡ型の働きを阻害する内服薬です。前回記事でお話しした通り、Ⅱ型は前頭部や頭頂部の頭皮に多く分布している酵素です。

フィナステリドによってⅡ型の働きが抑えられると、テストステロンがDHTに変換される量が減り、短くなっていた髪の成長期が正常なリズムに戻ることで、AGAの進行を抑える効果が期待されます。

1日1回の内服薬で、日本では医師の処方が必要です。先発品は「プロペシア」という製品名で販売されており、同じ有効成分のジェネリック医薬品(フィナステリド錠)も流通しています。

効果を実感するまでには、一般的に3か月~半年程度の継続的な服用が必要とされています。

デュタステリド(ザガーロ)

デュタステリドも、フィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害してDHTの生成を抑える内服薬です。フィナステリドとの違いは、Ⅱ型だけでなくⅠ型も含めて両方の働きを阻害する点です。

日本における先発品は「ザガーロ」という製品名で、こちらも医師の処方が必要な薬です。

フィナステリドとデュタステリドは、作用する5αリダクターゼの範囲が異なるため、どちらが適しているかは医師の診断のもとで検討されることになります。

フィナステリドやデュタステリドとは異なる仕組みで作用する、発毛を後押しする「攻め」の治療薬とされているのが「外用薬」として知られているミノキシジルです。

ミノキシジル(リアップなど)

男性ホルモンやDHTの働きには直接関与せず、頭皮の血管を拡張して血流を促進することで、毛包に栄養や酸素が届きやすい状態をつくります。これにより、休止期にある毛包が成長期へ移行しやすくなるとされています。

日本では主に頭皮に直接塗布する外用薬として市販されており、大正製薬の「リアップ」シリーズ(男性用は5%濃度のリアップX5など)が広く知られています。

ミノキシジルを頭皮に塗布するイメージ画像

なお、ミノキシジルには外用薬のほかに内服タイプも存在しますが、日本では現時点でAGA治療薬として正式に承認されていません。一部の医療機関で自由診療として扱われているケースもありますが、本シリーズでは国内で承認されている外用薬を中心にご紹介しています。

AGA治療では、内服薬と外用薬を組み合わせて使用するケースも多く見られます。代表的なのが、フィナステリドまたはデュタステリドといった内服薬と、ミノキシジルの外用薬を併用するパターンです。DHTの生成を抑える「守り」と、発毛を促す「攻め」を同時に行うことができるため、それぞれを単独で使うよりも効果的にアプローチできるとされています。

一方で、フィナステリドとデュタステリドは、どちらも5αリダクターゼを阻害するという同じ系統の薬にあたるため、通常この2つを同時に併用することはありません。
多くの場合、まずどちらか一方を使用し、効果が十分に感じられない場合に、医師の判断のもとでもう一方へ切り替えるという形がとられます。

今回のポイントを整理します。
フィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(ザガーロ)は、DHTの生成を抑えることでAGAの進行を抑制する「守り」の内服薬です。
ミノキシジル(リアップなど)は、頭皮の血流を促して発毛を後押しする「攻め」の外用薬です。

※このほかにも、有効成分を頭皮に直接注入する「頭皮注射」「発毛レーザー」といった新しい治療法もありますが、現時点では十分な臨床データが確立されているとは言いがたいため、本記事では詳しいご紹介を割愛しています。

これらの薬は効果が認められている一方で、効果の感じ方には個人差があり、知っておくべき副作用もあります。次回、第5回では、フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルそれぞれの効果の個人差や、知っておきたい副作用について詳しく解説していきます。

第五回:AGA治療薬の副作用と注意点

治療薬によるアプローチと並行して、今ある髪型の印象をすぐにカバーしたいという方には、「かつら・増毛」という選択肢もあります。効果を実感できるまでに時間がかかる治療薬とは違い、見た目の変化をその日のうちに感じられるのが特徴です。

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