髪にいい食べ物、栄養素、生活習慣【かつら屋さんのAGA入門⑦】

髪にいい栄養素、食べ物、生活習慣

本記事は全10回シリーズ『かつら屋さんのAGA入門』の第七回です。

第4回ではAGA治療薬の種類と効果、第5回では治療薬の副作用や注意点、第6回ではすぐに理想のヘアスタイルを目指せる、かつら・増毛という選択肢を紹介してきました。

どちらも慎重な決断が必要な方法なので「もっと手軽にはじめられるAGA対策ってないの?」と思う方もいらっしゃると思います。たとえば・・・

食事を見直せば、髪は増える?

髪にいい食べ物や、必要な栄養素って何?

お酒やタバコは、薄毛に関係する?

睡眠不足は、髪に影響する?

髪の毛にいい食品、控えたい食品のイメージ画像、コンビニで食べ物を選ぶ男性

こうした疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「お金をかけずに、今日からできること」として、髪にいい食事と栄養、生活習慣を取り上げます。

先にお伝えしておくと、食事や生活習慣の改善だけでAGAの進行を抑えたり、失われた髪を取り戻したりすることは期待しにくいのが実情です。

ただし、髪の成長に必要な栄養を十分に摂ることや、健康的な生活習慣を心がけることは、健やかな髪を育むための大切な土台になります。

それでは、まず髪の成長に関わる栄養素と、おすすめの食材から見ていきましょう。

髪の毛に良いとされる様々な栄養素があるので、代表的なものから順に説明していきます。
おすすめ食材は、栄養素どうしで共通するものも多いです。

髪にいい栄養【その1】タンパク質

あなたは、髪の毛が何でできているか、ご存じでしょうか?

髪の毛の大部分は、ケラチンというタンパク質でできています。

食事から摂ったタンパク質は体の中でアミノ酸に分解され、髪の主成分であるケラチンにつくり変えられます。つまりタンパク質は、髪の材料そのものと言えます。

また、タンパク質は髪の毛に限らず、体にとって非常に大切な栄養素でもあります。タンパク質が不足すると、体は筋肉や内臓の維持を優先し、髪にまで材料が回りにくくなってしまいます。無理なダイエットなどで栄養が不足したり偏ったりすると抜け毛が増えることがあるのは、このためです。

髪の毛を育てるため、そして健康な体づくりのためにタンパク質は必要不可欠な栄養素です。

おすすめ食材:鶏むね肉、サケ、アジ、卵、大豆製品(納豆・豆腐)、乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)

タンパク質を多く含む食品例、鶏むね肉、ゆで卵

タンパク質には動物性のものと植物性のものがあり、どちらか一方だけでなくバランスよく摂るのが良いといわれています。食事だけで必要量の摂取が難しい場合はプロテインを補助的に使うのもおすすめです。

髪にいい栄養【その2】亜鉛

タンパク質に続いて、髪の毛に良いとされる栄養素として亜鉛があります。

亜鉛は、体内で作ることのできない必須ミネラルのひとつです。皮膚や骨、筋肉、爪、髪の毛などの成長や代謝に深く関わっています。

髪の毛にとっては、タンパク質をケラチンに合成するときや、髪をつくる細胞が分裂するときに欠かせない栄養素です。亜鉛が不足すると、抜け毛の原因になることが知られています。

おすすめ食材:牡蠣、豚レバー、牛肉(赤身)、カシューナッツ、アーモンド、ごま

亜鉛を含む食品、牡蠣の写真

亜鉛は肉や魚介類など、さまざまな食品に含まれています。まずは普段の食事でバランスよく摂ることを意識しましょう。

髪にいい栄養【その3】イソフラボン

イソフラボンは大豆に含まれる成分で、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きを持つことで知られています。

第3回で紹介した、AGAに関わる酵素「5αリダクターゼ」との関係についても研究が進められていますが、現時点ではまだ研究段階です。

イソフラボン単独の効果を期待するというより、タンパク質も一緒に摂れる大豆製品を普段の食事に取り入れることを意識するだけで、髪の毛のみならず、体全体の健康につながります。

おすすめ食材:納豆、豆腐、豆乳、味噌、きな粉

イソフラボンを含む食材、大豆

食事で摂るのが難しい方は、ソイプロテインもおすすめです。ソイプロテインは大豆由来のプロテインで、植物性タンパク質に加えて、イソフラボンも含まれています。

髪にいい栄養【その4】ビタミン

「ビタミン」は五大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)のひとつで、体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。

ビタミンには13もの種類があり、それぞれ異なる役割を持っています。

中でも髪の毛にいいとされているのが、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEです。

・ビタミンB群(B2・B6・ビオチンなど):タンパク質の代謝や、皮脂のバランスに関わります。
 おすすめ食材:うなぎ、豚肉、レバー、マグロ、カツオ、バナナ

・ビタミンC:タンパク質の一種であるコラーゲンの合成を助け、亜鉛や鉄の吸収もサポートします。
 おすすめ食材:ブロッコリー、ピーマン、キウイ、柑橘類

・ビタミンE:体の酸化を防ぐ働きがあります。
 おすすめ食材:アーモンド、アボカド、かぼちゃ、オリーブオイル

これらのビタミンも、不足しないようにさまざまな食品から摂ることが大切です。

栄養素役割食材
タンパク質髪の材料(ケラチン)になる鶏むね肉、サケ、アジ、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛ケラチンの合成や細胞分裂を助ける牡蠣、豚レバー、牛肉(赤身)、カシューナッツ、アーモンド、ごま
イソフラボン女性ホルモンに似た働きを持つ(研究段階)納豆、豆腐、豆乳、味噌、きな粉
ビタミンB群タンパク質の代謝や皮脂のバランスに関わるうなぎ、豚肉、レバー、マグロ、カツオ、バナナ
ビタミンCコラーゲンの合成や、亜鉛・鉄の吸収を助けるブロッコリー、ピーマン、キウイ、柑橘類
ビタミンE体の酸化を防ぐアーモンド、アボカド、かぼちゃ、オリーブオイル

髪にいい食材【補足編】

ここまで紹介した栄養素のほかに、髪の毛との関係でよく話題になる食材についても触れておきます。

■海藻類(わかめ・昆布・ひじき・のりなど)

「わかめを食べると髪が増える」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。海藻は、昔から髪にいい食材として親しまれてきました。

科学的根拠は現時点では確認されていませんが、海藻のぬめり成分である「フコイダン」について、髪との関係を調べる研究も行われています。現在はマウスなどの動物を使った研究が中心で、人での効果はこれからの研究が待たれるところです。

また、海藻類には鉄やカルシウム、ヨウ素などのミネラルや食物繊維が含まれていて、体の調子を整えるのに役立つ食材です。低カロリーで、味噌汁やサラダに手軽に加えられるので、普段の食事でミネラルを補う食材として取り入れてみてはいかがでしょうか。

■ほうれん草

ほうれん草には、鉄や葉酸、ビタミンCなどが含まれています。

鉄は、体の中で酸素を運ぶ赤血球の材料になる栄養素です。不足すると、頭皮を含め体のすみずみに十分な酸素が届きにくくなるといわれています。また、葉酸は細胞が分裂するときに必要な栄養素で、髪をつくる細胞の働きを支えます。

ほうれん草に含まれる鉄は、肉や魚に含まれる鉄に比べて吸収されにくいのが特徴です。肉や魚、ビタミンCを含む食材と一緒に摂ると、吸収されやすくなるといわれています。おひたしにする場合は、さっとゆでてアクを抜くと食べやすくなります。

ここまで、髪のために意識したい栄養素と食べ物を紹介してきました。ただし、体に良いものでも、摂りすぎるとかえって体の負担になることがあります。

  • ・亜鉛:摂りすぎると、銅欠乏症や貧血、胃の不調などをひきおこすことがあります。
  • ・イソフラボン:摂りすぎるとホルモンバランスへの影響や体調不良のリスクが生じることがあります。
  • ・ヨウ素(昆布など):摂りすぎると、甲状腺の働きに影響することがあります。
  • ・ビタミンA:サプリメントなどで摂りすぎると、かえって抜け毛の原因になることがあります。

どの栄養素も普段の食事だけで摂りすぎになることはまれですが、サプリメントを使うときや、同じ食品ばかりを毎日たくさん食べるときには注意が必要です。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、髪のためにも体のためにも、特定の栄養素や食べ物に偏らず、バランスよく摂取することが大切です。

ここからは、髪の健康のために控えたい食べ物についても見ていきましょう。

■脂質の摂りすぎ(揚げ物・ファストフード・脂身の多い肉)

脂質の多い食事が続くと、皮脂の分泌が増え、頭皮環境が乱れやすくなるといわれています。

揚げ物を焼き魚や鶏むね肉に置き換えるなど、「何を選ぶか」を少し変えるだけでも、脂質は減らせます。

■糖質の摂りすぎ(お菓子・菓子パン・清涼飲料水)

糖質を分解するときには、ビタミンB群(特にB1)が使われます。糖質を摂りすぎると、髪や頭皮のために使いたいビタミンが不足しやすくなります。

特に清涼飲料水や甘い缶コーヒーは、気づかないうちに多くの糖質を摂ってしまう代表例です。飲み物をお茶や水に変えるだけでも違います。

■塩分の摂りすぎ(ラーメン・加工食品・スナック菓子)

塩分の摂りすぎは、髪への直接の影響というより、高血圧など体全体の健康に関わります。髪も体の一部なので、体の健康のために控えめにしたいところです。

ラーメンのスープを残す、加工食品やスナック菓子に頼りすぎないなど、できることから始めてみましょう。

とはいえ、好きなものを我慢しすぎると、それ自体がストレスになってしまいます。完全にやめる必要はありません。毎日のように続いていないか、量と頻度を見直すことからはじめてみましょう。

髪の土台づくりに関わるのは、食事だけではありません。ここからは、睡眠や運動など、毎日の生活習慣について見ていきましょう。

生活習慣【その1】睡眠の質

「寝不足が続くと、髪のコンディションが落ちる気がする」と感じたことはありませんか?

睡眠中、特に寝入ってすぐの深い眠りのときに、成長ホルモンが多く分泌されます。成長ホルモンは、体の修復や細胞の再生に関わるホルモンです。

ぐっすり眠る若い男性

眠りの質を上げるために、次のことを意識してみてください。

  • ・寝る直前までスマートフォンを見ない
  • ・寝る直前の食事やお酒を控える
  • ・休日も含めて、毎朝なるべく同じ時間に起きる
  • ・ぬるめのお風呂に入って体を温めてから眠る

生活習慣【その2】お酒とタバコ

お酒は、アルコールを分解するときに亜鉛が使われるため、過度な飲酒は体内の亜鉛不足に繋がります。

また、タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、頭皮への血流を悪くするとされています。

飲酒・喫煙している人は薄毛が進みやすいという報告もあります。
髪のためだけでなく、体の健康のためにも、減らすことから始めてみましょう。

生活習慣【その3】適度な運動

ウォーキングや軽いジョギングなどの適度な運動は、全身の血の巡りを良くし、ストレスの発散や睡眠の質の向上にもつながります。

ストレスそのものがAGAの原因になるわけではありませんが、睡眠や食生活が乱れやすくなり、結果として髪の土台にも影響してしまいます。

なお、AGAとは別の脱毛症である円形脱毛症は、免疫の働きの異常が主な原因と考えられていて、ストレスがきっかけのひとつになることもあるといわれています。詳しくは第8回で紹介します。

今回は、髪の成長に関わる栄養素や食事、生活習慣について紹介しました。

髪の材料となるタンパク質をはじめ、亜鉛やビタミンなどの栄養素を不足させないことは、健やかな髪を育むための大切な土台です。また、極端な食事制限を避け、十分な睡眠を取り、健康的な生活習慣を心がけることも大切です。

ただし、食事や生活習慣を改善するだけで、AGAの進行を抑えたり、薄毛を元に戻したりできるわけではありません。薄毛が気になる方は、生活習慣を見直すことに加え、原因に応じた対策を検討しましょう。

次回の第8回では、AGA以外の脱毛症を取り上げます。円形脱毛症などの、AGA(男性型脱毛症)とは原因や対処法が異なる脱毛症について、わかりやすく解説していきます。

第8回:(順次公開予定)

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