本記事は全10回シリーズ『かつら屋さんのAGA入門』の第八回です。
このシリーズではこれまで7回にわたり、AGA(男性型脱毛症)の症状、発症のメカニズム、治療薬や増毛製品による対策、髪の健康を維持するための生活習慣を紹介してきました。
前回記事:第七回「髪にいい食べ物、栄養素、生活習慣」はこちら
ひとくちに薄毛といっても、その原因はAGAだけではありません。脱毛症の種類によって、原因も対処法も大きく変わります。
今回は、円形脱毛症をはじめとする、AGA以外の脱毛症について解説していきたいと思います。
円形脱毛症:AGA以外の代表的な脱毛症
AGA以外の脱毛症でよく知られているのが円形脱毛症です。
ある日突然、頭に丸いハゲができていた
頭を洗っているときにごっそり抜けてしまった
頭をかいていて毛のない部分の感触で気づいた
このように、時間をかけて緩やかに進行するAGAとは大きく異なり、円形脱毛症は突発的に発症する脱毛症です。
円形脱毛症は老若男女問わず誰にでも起こる可能性があり、生涯発症率(円形脱毛症を一生のうちに一度でも経験する人の割合)は1~2%(50~100人に1人)といわれています。

円形脱毛症ってどんな病気?
円形脱毛症は自己免疫疾患と考えられています。自己免疫疾患とは、本来細菌やウイルスなどの外敵から体を守る「免疫システム」が誤作動を起こし、自分自身の正常な細胞や組織を異物とみなして攻撃してしまう病気のことです。
円形脱毛症の場合は、免疫細胞(白血球の一種であるTリンパ球など)が「毛根(毛包)」を異物とみなして攻撃してしまうことが脱毛の原因と言われています。
昔から「円形脱毛症=ストレスが原因」というイメージが定着していましたが、ストレスは「根本的な原因」ではなく、発症の「きっかけ(誘因)」になることがある、というのが現代医学の正確なとらえ方です。
ストレス以外では、自律神経の乱れ、ホルモンバランス、食生活の偏り、風邪などの感染症や疲労などがきっかけになることもあると言われています。
円形脱毛症のタイプ
円形脱毛症には、単発型、多発型、全頭型など、脱毛の範囲や症状の現れ方によって分類される種類があります。
単発型は頭皮の一箇所だけに円形、または楕円形の脱毛斑ができる、比較的症状が軽く最も一般的なタイプです。約8割の人が1年以内に自然に回復すると言われています。
多発型は、脱毛箇所が複数に増えてしまうタイプの円形脱毛症です。脱毛斑同士が隣り合って広範囲につながる(合体する)こともあります。単発型に比べると治りにくく、改善までに時間がかかる傾向があります。
全頭型は、多発型の症状がさらに進み、ほぼすべての髪の毛が抜け落ちてしまうタイプです。さらに、眉毛やまつげ、ひげ、体毛など、全身の毛が抜け落ちてしまう汎発型に進むケースもあります。
治療はまず皮膚科へ
円形脱毛症は、AGA(男性型脱毛症)とは根本的な原因が違うので、AGA治療薬では症状の改善は期待できません。
単発型などの軽い症状なら自然治癒することも多いですが、治療については、まずは皮膚科へ相談することが推奨されています。クリニックでの治療法としてはステロイドの塗り薬や注射、局所免疫療法などが一般的です。
治療を始めてから改善が見られるまでに1~3か月程度かかり、本来の太くしっかりした髪の毛が生えそろうにはさらに数か月かかります。完治を目指すのなら、医師の指示にしたがい根気よく治療に取り組む必要があります。
円形脱毛症の治療は、AGAと違って健康保険が使えます(一部の治療法を除く)。
治療中の見た目の悩みには
円形脱毛症の治療には時間がかかります。そのあいだ、「人に気づかれないか」「どう隠せばいいか」と悩む方も少なくありません。
インクリーズヘアーでは、治療中の見た目の悩みを和らげるための増毛製品を扱っています。見た目の不安を軽くして、毎日を前向きに過ごすための手段として活用されています。
■ 小さな円形脱毛には「クイックPON」
直径1cmの丸い増毛シールで、気になる部分にピンポイントで貼りつけられます。使う本数で範囲を調整できるので、小さな脱毛斑を目立たなくしたいときに向いています。

■ 少し広い範囲には「ヘアーインプラントEX(円形脱毛用)」
円形の脱毛箇所に合わせて形、大きさを調整して自分でつけられる増毛製品です。
(楽天市場:ヘアーインプラントEX 円形脱毛用)
※患部に塗り薬などで治療をしている方は、シールやテープを貼ってよいか、増毛製品・ウィッグの使用について事前に皮膚科の医師に確認してください。
円形脱毛症による見た目のお悩みは、インクリーズヘアーにご相談ください。
先天性乏毛症・無毛症(うまれつきの症状)
厳密には脱毛症とは区別されますが、生まれつき毛がまったくない、または髪の毛が少ない状態を「先天性乏毛症・無毛症」といいます。
原因の多くは遺伝によるもので、日本国内の推定患者数は約1万人といわれています。
現時点では確立した治療法はありません。
全頭かつら(フルウィッグ)などで見た目をカバーする方法が一般的です。
薬剤性脱毛症(抗がん剤治療などによる脱毛)
薬の副作用によって髪の毛が抜けることを「薬剤性脱毛症」といいます。中でもよく知られているのが、がんの治療で使われる抗がん剤による脱毛です。
どうして髪の毛が抜けるの?
抗がん剤は、がん細胞のように活発に分裂する細胞に作用します。髪の毛をつくる毛母細胞も分裂が活発なため、抗がん剤の影響を受けやすく、髪が抜けてしまうことがあります。
脱毛は、抗がん剤による治療を始めてから2〜3週間ほどで始まることが多いといわれています。髪の毛だけでなく、眉毛やまつげ、体毛が抜けることもあります。

髪の毛はまた生えてくる?
抗がん剤による脱毛は、多くの場合、一時的なものです。
治療が終わってからおよそ3か月で髪が生え始め、半年から1年ほどかけて伸びていきます。ただし、治療による脱毛をきっかけとして、生えてきた髪の質が変わったり、治療前より白髪が増えたりする方もいらっしゃいます。
治療中の見た目の不安には
抗がん剤の治療中は体の負担に加えて、脱毛による見た目の変化がつらいという声もよく聞きます。
脱毛が始まる前に、今の髪型に近いウィッグを用意しておくと、見た目の変化を小さくでき、治療中も気持ちの面で落ち着いて過ごしやすくなります。
広い範囲の脱毛には「医療用かつら」
円形脱毛症の治療や、抗がん剤治療後に髪が生えそろうまでには、どうしても時間がかかります。その間、見た目の変化が気になって外出や人と会うことがつらくなってしまう方も少なくありません。
髪が生えてくるのを待つあいだも、見た目の悩みは今日から変えることができます。インクリーズヘアーでは、円形脱毛症や薬剤性脱毛症など、AGA以外の脱毛症でお悩みの方のためのフルウィッグ(全頭かつら)を扱っています。
■ つけたその日から、見た目が変わる
治療のように効果が出るまで待つ必要はありません。かつらをつけたその日から、脱毛する前と近い見た目で過ごせます。
■ 既製品なら即日お渡しも可能
既製品・サンプル品など(部分タイプ、セルフ増毛も含めて)70種類以上の中から選べて、即日納品にも対応しています。「急いで用意したい」という方もご相談ください。
■ 試着・相談は無料
実物を試着して、髪型やつけ心地を確かめてから選べます。
がん治療による外見の変化をサポートする「アピアランスケア」として、医療用ウィッグの購入費用を助成している自治体が増えています。助成の内容や条件は自治体によって異なるので、お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。
そのほかの脱毛症
ここからは、そのほかの脱毛症を簡単に紹介します。どれも原因や対処法が異なるので、気になる症状があるときは自己判断せず、まずは皮膚科に相談しましょう。
休止期脱毛症
強いストレスや高熱、手術、急なダイエットなどをきっかけに、2〜3か月ほどたってから一時的に抜け毛が増える脱毛症です。
たくさんの髪が一度に「休止期(抜ける準備の時期)」に入ってしまうことで起こり、頭全体がなんとなく薄くなるのが特徴です。きっかけがなくなれば、半年ほどで自然に元に戻ることが多いといわれています。
第7回でお話しした「無理なダイエットで抜け毛が増える」のも、このタイプです。
牽引性脱毛症
髪を強く引っ張る状態が長く続くことで起こる脱毛症です。
髪をきつく結ぶ、編み込みやエクステを長期間続ける、いつも同じ分け目にしているといったことが原因になり、生え際や分け目が薄くなっていきます。
早めに髪型を変えるなどして負担を減らせば回復しやすいですが、長く続けると戻りにくくなることもあります。
かつら・ウィッグでも、金具式のストッパーで同じ場所の髪を長期間引っ張り続けると、俗にいう「ストッパーはげ」になることがあります。気になる方は、ストッパー位置の調整や装着方法の見直しについて、インクリーズヘアーへご相談ください。
脂漏性脱毛症
「脂漏性脱毛症」は正式な病名ではなく、頭皮の「脂漏性皮膚炎」に伴って抜け毛が増えた状態を、こう呼ぶことがあります。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い部分で起こる皮膚炎です。ベタついたフケや赤み、かゆみが出るのが特徴で、頭皮の炎症を放っておくと、抜け毛につながることがあります。
抗真菌薬入りのシャンプーや塗り薬などで治療します。第7回で紹介した脂質の摂りすぎに気をつけることや、正しいシャンプーの仕方も、頭皮環境を整えるのに役立ちます。

真菌性脱毛症
水虫と同じ仲間のカビ(白癬菌)が、頭皮や髪の毛に感染して起こる脱毛症で、「頭部白癬(しらくも)」とも呼ばれます。
プール、サウナ、銭湯などの公共施設での感染や、柔道やレスリングなど、肌と肌が触れ合う格闘技をしている人の間で感染が広がった例もあります。フケやかさぶたを伴って、まだらに髪が抜けるのが特徴です。
塗り薬では治りにくく、飲み薬での治療が基本になります。市販の水虫薬を自己判断で頭に塗らず、専門の医療機関で診てもらいましょう。タオルやスリッパ、サンダルなどの共用を避けることも、感染予防につながります。
抜毛症(トリコチロマニア)
自分自身の髪の毛や眉毛、まつ毛などの体毛を無意識のうちに、または衝動的に引き抜いてしまう病気です。心の病気のひとつで、100人に1〜2人ほどにみられるといわれています。
日常生活のストレス、不安、緊張、退屈などを紛らわすための行動として起こることが多くあります。
抜いた部分だけが不自然に薄くなり、長さのそろわない短い毛が残るのが特徴です。
もし抜毛症になってしまっても「意志が弱いから」と自分を責める必要はありません。
一人で悩まず、精神科や心療内科、皮膚科に相談してみてください。
| 種類 | 主なきっかけ・原因 | 特徴 | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 休止期脱毛症 | 強いストレス、高熱、急なダイエットなど | 数か月後に全体の抜け毛が増える | 皮膚科 |
| 牽引性脱毛症 | 髪を強く引っ張る髪型、かつら・ウィッグの金具留め | 生え際や分け目、装着箇所が薄くなる | 皮膚科 |
| 脂漏性脱毛症 | 頭皮の脂漏性皮膚炎 | ベタついたフケ・赤みと抜け毛 | 皮膚科 |
| 真菌性脱毛症 | カビ(白癬菌)の感染 | フケやかさぶたを伴う脱毛 | 皮膚科 |
| 抜毛症 | 自分で抜いてしまう(心の病気) | 抜いた部分だけ薄くなる | 精神科・心療内科、皮膚科 |
AGAとの見分け方
ここまで、AGA以外のさまざまな脱毛症を紹介してきました。最後に、AGAとの大まかな違いを簡単にまとめておきます。
- 抜ける場所:AGAは生え際や頭頂部から薄くなってくるのが特徴です。耳周り(側頭部)や襟足(後頭部)の髪の毛は残りやすいといわれています。
- 症状の進行:AGAは年単位でゆっくりと薄毛が進行します。ある日突然、もしくは短期間のうちに一気に髪の毛が抜けた場合はAGA以外の脱毛症の可能性があります。
- 頭皮の様子:フケや赤み、かさぶた、かゆみなどがある場合は、頭皮の炎症や感染症が関わっている可能性があります。
ただし、これはあくまで目安です。AGAとほかの脱毛症が同時に起きていることもあり、見た目だけで判断するのは難しいものです。詳しくは第一回の記事(AGAの症状・進行について)も参考にしてください。
ただ、原因がAGAでもそれ以外でも、見た目の悩みを和らげる方法はあります。どんな方法が合うか迷ったら、インクリーズヘアーの無料相談で、実際の製品を見ながら一緒に考えてみませんか。
まとめ:薄毛の原因はAGAだけじゃない
AGA(男性型脱毛症)以外にも様々な種類の脱毛症があること、そしてそれぞれの対策、治療方法の違いについて、ご理解いただけたと思います。
その原因は円形脱毛症や薬の副作用、頭皮の炎症、生活習慣の変化などさまざまです。種類によって、治療法も対処法も大きく変わります。まずは原因を知ることが大切です。
「保険が使えるかどうか」という違いも
意外と知られていませんがAGAと、この記事で紹介した脱毛症とでは、「健康保険が使えるかどうか」という違いもあります。
今回の記事で紹介した円形脱毛症、脂漏性脱毛症、真菌性脱毛症などは「病気」として扱われます。そのため、皮膚科での診察や検査、治療は原則として健康保険の対象です(自己負担は1~3割)。抜毛症を精神科・心療内科で治療する場合も同じです。
「病院代が高くつきそう…」と受診をためらう必要はありません。気になる症状があれば、まずは専門の医療機関へ相談してみましょう。
逆に、AGA治療は美容目的の治療とみなされるため、健康保険が使えない「自由診療」です。診察代も薬代も全額自己負担で、料金はクリニックによってさまざまです。
※円形脱毛症の「局所免疫療法」など、一部の治療法は保険適用外です。
※かつら・ウィッグや増毛は、医療用であっても健康保険の対象外です。抗がん剤治療中の方向けに、医療用ウィッグの購入費を助成している自治体もあります。お住まいの市区町村にご確認ください。


インクリーズヘアーでは、小さな脱毛をカバーするセルフ増毛から、頭全体を覆う医療用かつらまで、「見た目の悩みを解決するための」増毛製品を多数ご用意しています。
また、マイクロスコープによる頭皮チェック、毛髪診断も無料で受けられます。まずは髪の毛や頭皮の状態を自分で見てみたいという方も、どうぞお気軽にご相談ください。

次回の第9回では、「AGA対策を徹底比較【前編】」として、治療薬や育毛剤、シャンプー、サプリなど、さまざまなAGA対策を比べていきます。
第9回:(順次公開予定)
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かつら屋さんのAGA入門 シリーズ一覧
- 第1回 AGAとは?症状・進行を解説
- 第2回 AGAは誰から遺伝する?
- 第3回 男性ホルモンとAGAの関係
- 第4回 AGA治療薬の種類と効果
- 第5回 AGA治療薬の副作用と注意点
- 第6回 かつら・増毛という選択肢
- 第7回 髪にいい食べ物、栄養素
- 第8回 円形脱毛症などAGA以外の脱毛症
第9回以降も順次公開予定です。シリーズの記事のサムネイル一覧はこちら


